無銭優雅/山田詠美

無銭優雅

無銭優雅


B級恋愛小説か。大人になりきれない大人の恋愛を描こうと試みたのかと思うのだけれど、失敗していると思う。恥ずかしげももなくミーミーと鳴き合う大人は分かる。けれど、大人になりきれない大人は相手がついた嘘や自分だけが知らない現実に逆上したりはしない。子供っぽさを目一杯演じられるのは、本物の大人の証だ。大人になりきれない大人は、自分の周りの出来事は目の端でチラ見する程度。最後に地固まったりはせず、最初から最後まですれ違うのだ。