かなえられない恋のために/山本文緒

かなえられない恋のために (幻冬舎文庫)

かなえられない恋のために (幻冬舎文庫)



山本文緒という人は、とても寂しがり屋で、作家になったことに未だに戸惑っている人なのだなあと思った。
ところどころに作家という身分に「不釣合いな自分」を持ち出している。自分で選んだ職業なのだから、いい加減観念して大きな顔をすればいいのにと思ってしまうところも少なからずあった。ようはくどいのかも。けれど、人間観察眼の鋭さは、この頃から卓越しているのだなあと素直に感心してしまう。