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菊葉荘の幽霊たち/角田光代

菊葉荘の幽霊たち

菊葉荘の幽霊たち


南図書館
臭いでその部屋を感じ、自分を異物のように感じる。その主人公の感覚は、ゆらゆらと危うげに漂う。角田さんは、よくこの作品に登場するような、だらしがない下流な若者を描く。失業中の二十五歳にも関わらず、大学へふらふらと入っていき、大学生の飲み会に参加し、あげくの果てには菊葉壮の住人である大学生の部屋に転がり込んでしまう。その見ていられないほど危うげな「私」に共感するところがあるのは、決まった時間に決まった電車に乗り、決まった机の前に座り、ほぼ予定どおりの仕事をこなす大人に飽き飽きしている自分がいるからだろう。