まちがい/辻仁成

まちがい

まちがい

思いつきがちなネタというか、サスペンスなんかでは良く使われるネタだと思うのだけれど、辻仁成氏の手に掛かると、スケールがデカくなるというか、純愛の逃避行ものに変換されてしまう。外国で愛し合う二人が離ればなれになってしまい、お互い求め合い、「探し合う」もしくは「待つ」パターンは辻仁成氏の十八番。でも、もう少し出会うまでに紆余曲折があった方が辻流なのでは?個人的には、最後のどんでん返しがあってもいいかなと思って読んでいた。最後の最後に、冬はやはり大悟の支配下にいて、ただ秋声を陥れるための芝居をしていて、秋声は立ち直れないくらいどん底に堕ちる。それが現実だ、というくらいオチがあっても面白かった。