男どき女どき/向田邦子
- 作者: 向田邦子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1985/05/28
- メディア: 文庫
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鮒の描写を読んだとき、向田邦子さんは鮒を見て、この不倫話を思いついたに違いないと思った。なるほど、鮒は無表情で鉛筆のような目をしている。なんとか、この無表情な生き物に何かを語らせることはできないだろうか?できたら、絶対に面白くなる。そう思ったにちがいない。女の、妻の直感が、鮒の無表情から夫の心を読み取ってしまう女の怖さを描いた物語。
ビリケンは、大阪のビリケンさんのことだと思うけれど、知らない人にはさっぱり分からないのでは?とちょっと心配しつつ読んだ。
エッセイは、やはりちょっと昔の女性っぽいというか、女性らしくみたいな気負いを感じてしまった。きっと、今、向田さんが書いていたら、もっと鋭く、えげつなく、女の視点を表現してくれていたと思う。とても残念。