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共食い/田中慎弥

共喰い

共喰い


第百四十六回芥川賞受賞作品。戦後の話か?と思ったら、冒頭に昭和六十三年の七月と書いてあって驚いた。昭和六十三年って、平成元年の一年前だぜ。携帯電話は無かったけれど、バブル崩壊直後でまだまだそれに気がついていない日本はイケイケ絶頂期の時代だったじゃん。いくら田舎だって言ったって、若者までがこんな封建的で、男尊女卑が通用するような感じだったろうか?当時大学生をしていた自分としては納得がいかない部分が多すぎる作品であった。ただ、作品全体に流れる肉厚というか、濃厚というか、厚みのある力強い文章が、時代性の危うさをもろともせず、読者を惹き付ける作品でもある。受賞会見では常識をすっ飛ばした著者だが、作風は超正統派だった。