ジェントルマン/山田詠美

ジェントルマン

ジェントルマン


久しぶりに熱中して読んだ。最初はちょっと女ごころをゲイに転用してしまった感が漂っている気がしていたのだけれど、読み進めるうちに本当にあちら側の人たちはこんな気持ちを抱えて生きているのかもしれないと思えてきた。直接的な表現を微妙に避けることで、清流のようなきれいなエロが作品中を覆わせることに成功していると思う。ユメが追うヒトとユメを追うヒト。どちらも一生モノの恋愛で、上手く表現できないのがもどかしいくらい「恋」の切なさが伝わってくる。オヂサンには羨ましいくらいまぶしい恋愛小説だった。