ひらいて/綿矢りさ

ひらいて

ひらいて

久しぶりの綿矢作品。「蹴りたい」同様悩める女子高生物語。だけれど、読者ターゲットは女子高生を狙ってはいない。確実にオヂサン狙いだ。好きな男に振られた腹いせに彼の彼女と寝る。彼の彼女は、予想外に主人公に身を任せてしまう。この辺の描写も結構オヂサン心をくすぐるようになっている。仕掛けた彼女は、冷静そうに見えて策士なんかではなく、落石のように自分をコントロールする術をもたず、転がる先もみえていない。無鉄砲で自己中心的な主人公は、もう立派なストーカー。スピード感のある展開で、ぐいぐいと引き込まれてしまう。今度の主人公は男の子の背中ではなく、男の子のDV父親の顔を殴る。一直線にすべてを薙ぎ倒してゆく主人公に巻き込まれる彼と彼女は、それぞれ戸惑う。でも、最後は「仲間」みたいな終わり方で締めくくられてしまっていて、その辺は作者の意図どおりだったのだろうか?綿矢さん、どーなのよ?