女装する女/湯山玲子

女装する女 (新潮新書)

女装する女 (新潮新書)


女装する女というタイトルから、社会観念としての女像を脱ぎ捨てた素の女たちがそれでも「女」をまとう「その時」の感情とか目的なんかを書いた本かと思って手に取ってみた。けれど、この年代の女性文化人からもれなく発せられるジェンダー論の香りがプンプンする内容だった。プラモデル雑誌は男性向けのオタク趣味雑誌と言い切ってみたり(あくまでもプラモデル趣味の人のための雑誌であって男性向けのオタク雑誌ではないし、その二元論はステレオタイプ過ぎるでしょう)、野心家で下積みや人間関係の地獄を見た上でのサクセスストーリーがある女性のことを内面は「男」と言い切ってみたり(旧来、女にはそんな経験ができる場所が与えられなかったと言いたいのかもしれないが)、男からみても「?」な発言が多い。結局、女って本当は自由奔放で、すごく欲望を抱えている存在で、今どきの女はそれを老若関わらず実践しているんだわさ、というどちらかというと男を意識して書いた単なる現代女性風俗白書的な内容だった。ちなみに言うなら、今どきの男はそんなこと知ってるっての。