苦役列車/西村賢太

苦役列車

苦役列車


第百四十四回芥川賞受賞作品。いったいどこまで馬鹿なんだコイツは、とついつい主人公に肩入れしたくなってしまうリアリティとリズム感がある。日本の格差社会はいったいどこにあるのかと疑っていたけれど、こんな風に社会に溶け込むようにあったのだなと改めて感心した。外国のようにスラム街があったり、子供が働いていたりしてはっきりと分かる形で存在はしていないけれど、電車のとなりに立っているにいちゃんが苦役列車である可能性もあるのだと思うと、ちょっと切ないしガンバレと声を掛けたくなってくる。