ここに消えない会話がある/山崎ナオコーラ

ここに消えない会話がある

ここに消えない会話がある


またまたナオコーラ。ちょっとナオコーラ漬けになってしまった。いわゆる職場小説。舞台は恐らくナオコーラが勤めていたと思われるラテ欄配信会社。ラテとはラジオ・テレビ欄のこと。どうしてラジオが先なのさっ?という突っ込みが入りそうだけれど、これは日本の放送の歴史を考えれば分かる。夕日放送島のスタッフがゆるい感じで繋がっている風景を描いている。感覚的には、ナオコーラと食事でもしていて、自分には全然関係のない職場の話を延々と聞かされて、おまけにオチがないという感じか。そういう意味では、目立った事件もないのにこれだけ描けていることに驚きもする。職場にある一つひとつのアイテムが、丁寧に描写されているところもいい。ゆるゆる感に妙にリアリティがあって、実際の職場はこんなものだよなと納得がゆく。