ピアニシモ/辻仁成
- 作者: 辻仁成
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1992/05/20
- メディア: 文庫
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辻仁成のデビュー作。この間、ピアニシモ・ピアニシモを読んだので、元の話が気になって手に取ってしまった。解説を書いた島田雅彦氏は「苛立ち」と書いていたが、この作品に流れる空気は「あきらめ」ではないかと思う。親も主人公も主人公を苛める同級生も、教師も「あきらめ」に支配され、どこにも踏み出せないでいる。苛立ちまで到達しない「無」の感情がそこに描かれているのだと思う。