草の巣/角田光代

草の巣

草の巣


南図書館
角田光代という人は、人間が出す汗ばんで汚いものを描写するのが上手なのだと思う。
この作品にはそんなシーンが沢山出てくる。女が働く食堂、無口な男、ワゴン車、草むらの家、うらびれた民宿、立ち寄る店たち、ビジネスホテル。
女が欲している物は何なのか?その答えを男は決して教えてはくれない。世間の人々の大半が所詮は自分にしか興味がないのだと言われているようだ。
自分の居場所を探し続ける男と、自分の心の中にあるものを引き出そうともがく女。女の心の闇だけを描写した作品だ。