負け犬の遠吠え/酒井順子

負け犬の遠吠え (講談社文庫)

負け犬の遠吠え (講談社文庫)


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生物というのは、メスが主なのだなあとつくづく思う一冊だった。結婚相手を見つけること=子供を作ることで、なおかつ、それがこんなにも誉れなことで、さらにこんなにも、勝ち犬(結婚し子供を有するメス)を羨望のまなざしで見ているのだ、と素直に感心してしまった。オスはそこまでは感じない。それは決して自分だけがそうということではないと思う。メスほど種族繁栄の責任を感じていないというか、自分の遺伝子(コピー)を残すことに執着を持っていないのだろうと思う。多くのメスが真面目で責任感が強くて、それが故に自滅してしまっている姿が理解できたような気がした。